大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第三小法廷 平成7年(オ)1937号 判決 1997年11月28日

上告人

右代表者法務大臣

下稲葉耕吉

右指定代理人

細川清

外一一名

被上告人

大島賢治破産管財人

村辻義信

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人増井和男、同小貫芳信、同吉池浩嗣、同宮城直之、同吉野孝義、同山垣清正、同中村好春、同亀井幸弘、同三次直哉、同栗谷桂一、同吉田泰則、同水谷稔の上告理由について

一 破産者所有の不動産を目的とする担保権の実行としての競売手続において交付要求がされたときは、交付要求に係る請求権に基づき破産宣告前に国税徴収法又は国税徴収の例による差押え(参加差押えを含む。以下この項において同じ。)がされている場合を除き、交付要求に係る配当金は、破産管財人に交付すべきものと解するのが相当である。その理由は、次のとおりである。

1  破産法が、総債権者の公平な満足を実現するために、破産管財人に破産財団の管理、処分の権利を専有させ、破産管財人を破産手続遂行のための中心的な機関とし、その広い裁量と責任の下に手続の円滑な進行を期し、もって、その目的の達成を図っているということができる。そして、同法においては、国税徴収法又は国税徴収の例により徴収することのできる請求権(以下「国税等」という。)は、財団債権とされ(破産法四七条二号)、国税等に優先する同法四七条三号に規定する破産管財人の報酬等の共益費用に次いで(最高裁昭和四〇年(オ)第一四六七号同四五年一〇月三〇日第二小法廷判決・民集二四巻一一号一六六七頁参照)、随時弁済を受けることとされている(同法四九条)。

2  破産法七一条一項は、破産財団に属する財産に対し国税徴収法又は国税徴収の例による滞納処分をした場合においては、破産宣告はその処分の続行を妨げない旨を規定しているところ、右規定は、破産宣告前に開始された滞納処分は破産宣告後も続行することができる旨を特に定める趣旨に出たものであり(最高裁昭和三九年(行ツ)第四七号同四五年七月一六日第一小法廷判決・民集二四巻七号八七九頁参照)、滞納処分を続行して破産手続によらずに当該滞納処分に係る国税等の弁済を受けることができるとの趣旨をも含むものと解すべきである。これに対し、国税徴収法に規定する交付要求は、同法の規定の上では滞納処分の一種として位置付けられているが、徴収職員が自ら強制換価手続を行って国税等の徴収を図るものではなく、既に他の執行機関により開始されている強制換価手続に参入して国税等の満足に得ようとするものであるから、徴収職員が自ら手続を進めることを前提とする破産法七一条一項の滞納処分には当たらないと解される。

3  前記のような破産手続の目的、破産管財人の地位、権限に加え、破産法が破産手続遂行の特別の例外として破産宣告前に開始された滞納処分の続行を認めたものの、交付要求はその例外に当たらないことに徴すれば、交付要求に係る国税等については、滞納者が破産宣告を受けた後は、破産宣告前に自らも滞納処分による差押えをしていた場合を除き、別除権の行使としての不動産競売手続において、その売却代金から直接弁済を受けることはできず、破産法に規定する手続により、破産管財人の合理的判断に基づいて随時弁済を受けるべきものと解するのが相当である。

右のとおりに解しても、破産宣告前であれば、国税等については、滞納処分による差押えをすることによって、破産法に規定する手続によらないで弁済を受けることができるのであるから、国税等の権利者に対し格別の不利益を課することにはならないというべきである。所論指摘の点は、いずれも以上の解釈を左右するものではない。

二  これを本件について見るに、原審が適法に確定したところによれば、(1) 大阪総合信用株式会社は、大阪地方裁判所に対し、大島賢治の所有する本件不動産について抵当権の実行としての競売の申立てをし、同裁判所は、平成三年九月三〇日、競売開始決定をした、(2) 大島賢治は、同年一〇月一一日、破産宣告を受け、被上告人が破産管財人に選任された、(3) 東大阪税務署長は、同月二三日、右不動産競売事件の執行裁判所に対し、第一審判決別紙租税債権目録(一)記載の国税につき、交付要求をした、(4) 平成五年五月二五日に開かれた右不動産競売事件の配当期日において、(3)の国税のうち法定納期限を平成元年三月一五日とする国税について配当の額を七万一五〇〇円とし、これを被上告人に交付するとの内容の配当表が作成された、というのであり、上告人は、大島賢治が破産宣告を受ける前に、本件不動産について滞納処分により差押えをしていなかったことがうかがわれる。したがって、上告人が直接右配当金の交付を受けることはできないというべきであり、右配当金を破産管財人である被上告人に交付すべきであるとした原審の判断は正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。

よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官元原利文 裁判官園部逸夫 裁判官千種秀夫 裁判官尾崎行信)

上告代理人増井和男、同小貫芳信、同吉池浩嗣、同宮城直之、同吉野孝義、同山垣清正、同中村好春、同亀井幸弘、同三次直哉、同栗谷桂一、同吉田泰則、同水谷稔の上告理由

上告人は、上告の理由を次のとおり明らかにする。

本件は、滞納者に対して国税債権を有する上告人(東大阪税務署長)が、滞納者の破産宣告後に、滞納者所有の不動産(以下「本件不動産」という。)に対する別除権行使(抵当権の実行)に係る競売手続の執行裁判所に交付要求(以下「本件交付要求」という。)をしたところ、執行裁判所が、抵当権に優先する上告人の国税債権に係る配当金(以下「本件配当金」という。)を破産管財人である被上告人に交付する旨の記載のある配当表(以下「本件配当表」という。)を作成したため、上告人が本件配当表の右記載を交付要求者である上告人に交付する旨の変更を求めた事案である。

原判決は、本件配当表は適法であるとして、上告人の請求を認容した第一審判決を取り消し、上告人の請求を棄却した。

しかしながら、原判決の右判断には、破産法九五条、民事執行法(以下「民執法」という。)一八八条、八四条一項、国税徴収法(以下「徴収法」という。)八二条一項の解釈適用を誤った違法があり、これが判決に影響を及ぼすことは明らかである。

一 原判決の判断

原判決は、破産宣告後に交付要求があった場合に、上告人に対して競売代金を直接配当すべきものとすると、破産宣告後に新たな滞納処分を許容したのと同じ結果となって、最高裁昭和四五年七月一六日第二小法廷判決(民集二四巻七号八七九ページ)の法理に反するし、かつ、別除権の行使手続で国税債権を優先して行使し得るものとする規定が破産法に置かれていないから、国税償権は、破産法の規定するところにより財団債権として破産財団から弁済すべきであり、その債権相当額は破産管財人に交付されるべきであるとする(判決書六ページ三行目〜末行、七ページ六行目〜七行目)。

二 原判決の論理構成とその問題点

1 破産法七一条一項は、破産宣告前の滞納処分は、破産宣告後も続行できることを定めており、この場合には、破産管財人の随時弁済によることなく、滞納処分の手続のみによって国税を徴収することができるが、その反対解釈として、破産宣告後に新たに滞納処分をすることは許されない(前掲最高裁昭和四五年七月一六日判決)。

そして、同時に、破産者に対する国税債権は財団債権に該当し(破産法四七条二号)、財団債権は破産手続によることなく随時弁済され(破産法四九条)、この随時弁済は破産管財人の判断に基づいて行われる(前掲最高裁昭和四五年七月一六日判決)。

2 ところが、原判決は、国税債権者が、破産管財人の随時弁済によることなく国税を徴収できるのは、破産法七一条一項により破産宣告前の滞納処分を破産宣告後も続行する場合に限られ、その以外の場合は許されない、とするのが前掲最高裁昭和四五年七月一六日判決の法理であると解しているようである。その上で、原判決は、本件配当金を上告人に交付すると、破産管財人の随時弁済によることなく国税を徴収することを認めたことになり、破産宣告後に新たな滞納処分を許容したのと同じ結果になって、右最高裁判決の法理に反するから、本件配当表は適法であるという結論を導き出したと考えられる。

3 しかしながら、右最高裁判決は、税務署長が滞納者の破産宣告後に破産管財人に交付要求をしたところ、破産管財人が財産を有しながら僅少の金額を随時弁済したのみで、その余の金額を納付しないため、税務署長が破産財団に属する定期預金返還請求権を差押処分した事案について、破産宣告後の新たな滞納処分が許されないとしたにすぎない。

したがって、本件のように、別除権行使に係る競売手続に交付要求をして国税を徴収することができるか否かは、別に検討しなければならない。

三 別除権行使に係る競売手続における交付要求

1 交付要求の可否

(一) 滞納者の財産につき担保権の実行としての競売手続が行われた場合には、税務署長は、執行裁判所に対し、滞納に係る国税につき、交付要求書により交付要求をしなければならない(徴収法八二条一項、二条一二号、一三号)。そして、別除権行使に係る競売手続は、右の担保権の実行としての競売手続にほかならないので、税務署長は、執行裁判所に対して交付要求書により交付要求をしなければならない。

(二) このような交付要求は、破産法七一条一項により許されない破産宣告後の新たな滞納処分には該当しない。

すなわち、破産法七一条一項が予定している滞納処分は、税務署長が差押、換価、配当という手続を自ら実施するものであるが、交付要求は、既に他の執行機関による強制換価手続が進行している場合に、その手続に参入して国税債権の満足を得ようとするものであり(最高裁平成二年六月二八日第一小法廷判決・民集四四巻四号七八五ページ)、同条項が予定している滞納処分には当たらない。

(三) 仮に、別除権行使に係る競売手続の執行裁判所に対する交付要求を認めないとすれば、別除権に優先する国税債権がある場合には、たまたま破産宣告がされたという一事によって、別除権者は、国税債権者に優先して弁済を受けるという思わぬ利益を受ける反面、国税債権者は、その引き当てとしていた滞納者の財産から弁済を受けることができなくなる不利益を受ける、という不合理な結果を生じる。

それにとどまらず、別除権行使に係る競売手続で配当を受けられなかった被担保債権は破産債権となるにすぎない(破産法九六条)が、国税債権は財団債権である(破産法四七条二号)ため、国税債権が破産財団から随時弁済を受けることになると、別除権者の右の思わぬ利益は、国税債権者に劣後する他の債権者のみならず、財団が不足する場合においては、共益費用を除く他の財団債権者にも犠牲を強いることになる。

(四) したがって、破産宣告の前後とはかかわりなく、別除権行使に係る競売手続の執行裁判所に対する交付要求は許される。

2 配当金の交付先

(一) 別除権行使に係る競売手続は、破産手続によることなく行われる(破産法九五条)。

別除権行使に係る競売手続は、担保権の実行としての競売手続にほかならないから、民執法及び民事執行規則(以下「民執規則」という。)の規定に従って行われることになる。

そして、交付要求は、既に他の執行機関による強制換価手続が進行している場合に、その手続に参入して国税債権の満足を得ようとするものであり、当該強制換価手続上の制限に従う(前掲最高裁平成二年六月二八日判決)から、税務署長が別除権行使に係る競売手続の執行裁判所に対して交付要求をすると、その後の手続は、民執法及び民執規則に定められた担保権の実行としての競売手続に従って行われる。本件のように別除権が抵当権である場合は、不動産に対する強制競売手続の規定に従うことになる(民執法一八八条)。

不動産に対する強制競売手続の執行裁判所に対して交付要求がされると、交付要求は競売手続上配当要求の性質を有する(東京高裁昭和二九年六月三〇日判決・下民集五巻六号一〇〇〇ページ)ため、配当要求の終期までに交付要求がされる限り、国税債権者は、配当を受けることができ(民執法八七条一項二号)、その場合の配当の順位及び金額は、徴収法の定めによって決定される(民執法八五条五項)。執行裁判所は、国税債権者に対する配当の順位及び金額などを記載した配当表を作成した上(民執法八五条一項、四項)、この配当表に基づいて配当を実施しなければならない(民執法八四条一項)。この配当の実施方法は、裁判所書記官が、国税債権者に対して配当金を交付するか、配当金に相当する金額が供託されている場合には、国税債権者に対する当該金額の支払を供託所に委託することによって行う(民執規則六一条)。

このように別除権行使に係る競売手続(担保権の実行としての競売手続)は、民執法及び民執規則に従って行われるから、破産管財人が別除権行使に係る競売手続に介入する余地はない。換言すると、破産管財人は、別除権の目的たる財産の管理処分権を有しない。

そうすると、本件では、税務署長が別除権行使に係る競売手続の執行裁判所に対して交付要求をしたから、本件配当金は国税債権者である上告人に交付しなければならず、これを破産管財人である被上告人に交付することは、違法である。

これに対し、原判決は、租税債権者による交付要求を認めながら、租税債権者が交付要求に係る配当金を受領する権限を否定した上、何らの債務名義を有しない破産管財人への交付を認めるが、このような取扱いは「配当に参加する権利」と「配当金の交付を受ける権限」とを分断するものである。原判決のこのような見解は、法の明文の規定がない限り採り得ないが、そのような明文の規定がないことは明らかである。

(二) 別除権の目的となる不動産は、形式的には破産財団に属するものの、破産債権者の共同的満足の引き当てとなるのは別除権行使後の余剰部分のみであり、実質的には、右剰余部分のみが破産財団に属する(最高裁昭和六二年四月二一日第三小法廷判決・民集四一巻三号三二九ページ)。

本件の場合、本件不動産の売却代金が二五〇九万円、競売費用が七六万一〇一二円、別除権たる抵当権の被担保債権額が二八四七万八四一〇円であるから、本件不動産の売却代金は、仮に本件交付要求がなければ、その全額が競売費用及び被担保債権の弁済に充てられていた、すなわち、本件不動産は、別除権者の被担保債権によってその交換価値の全部が把握されていた。したがって、本件不動産は、形式的には破産財団に属するものの、実質的には、破産財団に属さないから、破産管財人である被上告人の管理処分権は、本件不動産には及ばない。そうすると、本件配当金について、いったん被上告人に交付し、被上告人から上告人が随時弁済を受けなければならない理由はない。それにもかかわらず、本件配当金を被上告人に交付し、上告人が被上告人から随時弁済を受けるべきものとすれば、国税債権者の負担において破産財団の増殖を図るという不合理な結果を招くことになる。

(三) 破産財団が財団債権の総額を弁済するのに不足することが明らかとなったときには、財団債権の弁済は、法令に定める優先権にかかわらず、債権額の割合に応じてすべきものとされる(破産法五一条)が、財団債権のうち共益費用については、国税その他の公課に優先して弁済すべきものとされている(最高裁昭和四五年一〇月三〇日第二小法廷判決・民集二四巻一一号一六六七ページ)。

そこで、破産財団が財団債権の総額を弁済するのに不足することが明らかとなったときに、別除権行使に係る競売手続の執行裁判所に対して交付要求がされ、国税債権者がその配当金の交付を受けてしまうと、右の債権者の割合に応じた弁済や共益費用の優先弁済に抵触するおそれがあるという問題が生ずる。

しかし、このような結果は、別除権行使に係る競売手続が民執法及び民執規則に従って行われる以上やむを得ないものというべきであるし、また、本件の場合、仮に本件交付要求がなければ、もともと本件不動産の売却代金は、全額競売費用及び被担保債権の弁済に充てられ、右の債権額の割合に応じた弁済や共益債権の優先弁済に充てられなかったから、本件配当金を上告人に交付したとしても、何ら異とするに足りない。

(四) 別除権行使に係る競売手続の執行裁判所に対して交付要求がされたにもかかわらず、その配当金を破産管財人に交付すると、次のような不合理な結果を招く。

(1) 別除権行使に係る競売手続の執行裁判所から配当金が国税債権者に交付されると、売却代金納付日の翌日から国税債権者が配当金の交付を受けた日までの期間の延滞税は免除されることになるが、配当金が破産管財人に交付されると、少なくとも売却代金納付日の翌日から配当金が破産管財人に交付された日までの延滞税を免除することができない(国税通則法六三条六項四号、同施行令二六条の二第一号)ので、その延滞税の分だけ国税債権が増加することになり、国税債権者に劣後する債権者のみならず、財団が不足する場合には、共益費用を除く他の財団債権者に不利益を及ぼすことになる。

(2) 国税を滞納している破産者が複数の不動産を所有し、それぞれの不動産について別除権行使に係る競売手続が行われた場合、税務署長としては、各競売手続を実施する執行裁判所に対して同一の国税債権をもって交付要求をしなければならない(徴収法八二条一項)が、配当の実施等によってその国税債権が消滅すれば、他の競売手続における交付要求は解除しなければならない(徴収法八四条一項)。この規定は、国税債権者に劣後する他の債権者(別除権者)の利益を保護しようとするものである。

ところが、執行裁判所が破産管財人に配当金を交付すると、国税債権が消滅しないため、税務署長は他の競売手続における交付要求を解除することができず、国税債権者に劣後する他の別除権者の利益を侵害することになる。

(3) 別除権行使に係る競売手続の執行裁判所に対して交付要求をした以上、国税債権者は、配当表記載の国税債権の債権額、配当順位又は配当額に不服があれば、自らの負担において配当異議の申出をした(民執法八九条一項)上、配当異議の訴えを提起する(民執法九〇条一項)ことになる。

このように国税債権者が自らの負担によって配当金を確保したとしても、その配当金が破産管財人に交付されるならば、右配当金が共益費用の優先弁済や債権の割合に応じた弁済に充てられ、国税債権が満足を得るという保証はなく、国税債権者の右努力は報われないことになる。

(五) 以上によれば、税務署長が別除権行使に係る競売手続の執行裁判所に対して交付要求をした場合、その配当金は国税債権者に交付しなければならず、これを破産管財人に交付する取扱いは、民執法及び民執規則の規定に反して違法であり、その結果も極めて不合理なものになるといわざるを得ない。

3 別除権の行使手続に関する法令の規定

原判決は、別除権の行使手続で国税債権を優先して行使し得るものとする規定が破産法に置かれていないことをも根拠として、本件配当金は破産管財人に交付すべきであるとする。

しかし、別除権行使に係る競売手続は、破産手続によることなく行われる(破産法九五条)から、本件配当金は、破産法の規定ではなく、民執法及び民執規則の規定に従って交付される。そして、民執法及び民執規則には、配当金を交付要求した者に交付せず、第三者に交付することができる旨の根拠規定はない。したがって、原判決の右理由は、本件配当金を破産管財人に交付する根拠にはなり得ない。

4 まとめ

以上検討したところによれば、国税債権者が別除権行使に係る競売手続の執行裁判所に対して交付要求をすることは許されるし、その配当金は国税債権者に交付しなければならないこととなる。

四 結論

よって、原判決には、破産法九五条、民執法一八八条、八四条一項、徴収法八二条一項の解釈適用を誤った違法があり、右違法が、判決に影響を及ぼすことは明らかである。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例